2019.07.13.「幻の名著『沖縄の歩み』復刻記念シンポジウム」が開催されました。

「幻の名著『沖縄の歩み』復刻記念シンポジウム 1950年代『島ぐるみ闘争』の立役者!忘れられた行動と思想の変革者・国場幸太郎」が、7月13日、浦添市社会福祉センターで開催されました。主催は同実行委員会。本会が連絡先となり運営を担当しました。同書の著者、国場幸太郎さん(1927~2008年)の足跡を学ぼうと、200人を超える方が参加。用意された同書70冊は、休憩時間には完売しました。

シンポジウムの第一部では、新川明さん(ジャーナリスト)による基調報告「『沖縄解放論』の継承と課題」、仲宗根勇さん(元裁判官)の報告「私の思想〝遍歴〟における国場幸太郎」、島袋まりあさん(ニューヨーク大学准教授)の報告「沖縄における非合法、Aサイン業者、マルクス主義」がありました。また、長元朝浩さん(元新聞論説員)から「島ぐるみ闘争」についての解説もあり、第二部では、仲里効さん(批評家)をコーディネーターにディスカッションが行われました。 新川さんは、米軍統治下の激動の時期における国場さんの活躍を振り返り、またその著述を紹介しながら、その先見性について報告されました。仲宗根さんは、東京での学生時代に自らを「純日本人」とする自己欺瞞に陥っていているときに国場論文に衝撃を受け、「ウチナーマンガタミ」に回帰したと話されました。島袋さんは、「アメリカ兵のオンリーとかハーニー」と呼ばれる沖縄女性たちと国場さんら非合法共産党員とのつながりに注目し、国家や法に還元され得ない空間の可能性を話されました。

幅広い視点から国場さんの足跡を学ぶことができたシンポジウムでした。国場さんが、日本「復帰」後の日米軍事植民地化を見通していたことや、沖縄の人びとが「外部の力」に頼りすぎることの問題点を指摘していたことも改めて知ることができました。

島袋さんが、「国場さんを沖縄の革命家として神聖化・ヒーロー化していくのではなく、現在の私たちに何かを喚起させてくれる存在として、彼の仕事について一緒に考えていきたい」とおっしゃっていました。本会でも『沖縄の歩み』に学びながら今後の活動の糧にしていけたらと思いました。

なお、同シンポジウムの講演記録は、『月刊琉球』9月号に掲載される予定です。

(命どぅ宝!琉球の自己決定権の会ニュースレター第15号より転載)