「命どぅ宝! 琉球の自己決定権の会」設立宣言

2017年6月22日

「命どぅ宝! 琉球の自己決定権の会」設立宣言
━ ウチナーのことはウチナーンチュが決める ━

15世紀半ば、首里城正殿に掛けられた「万国津梁の梵鐘」には、かつて琉球国が海洋アジアの中心として、東アジアから東南アジアを舞台に貿易立国として栄えた歴史が誇らしく刻まれている。その歴史的記憶は、今日を生きる私たち琉球・沖縄人が自らの未来を築く一つの道標として、1879年の琉球併合以来幾多の困難にあっても、私たちを鼓舞してやまない。

今年沖縄は、1972年の「日本復帰」から45年を迎える。日本本土のための捨て石とされた悲惨な沖縄戦の体験、その後の米国によるむき出しの植民地支配に抗い、琉球・沖縄人の自己決定権の行使として平和憲法下の日本を目指した。

だがしかし、今日の沖縄の現状は辺野古新基地建設に象徴されるように、日米両国の軍事植民地体制下におかれ、「復帰」に託した思い・希望は見事に打ち砕かれ、私たちはあの沖縄戦を強いられた状況に再び追い込まれつつある。

「命どぅ宝!」。これは琉球・沖縄人があの沖縄戦の犠牲の上に学んだ歴史的普遍的教訓だ。琉球・沖縄において、日本国の憲法や民主主義が機能しない差別的な処遇に、私たちは子や孫たちの世代に対し深い憂慮の念を禁じ得ない。

戦後70余年、日米両国による軍事拠点化政策によって、常に私たちは生存権を脅かされ、自由な経済的及び文化的発展の追求を阻害され、恒常的な貧困を強いられてきた。私たちは、「命と暮らし」の危機を脱するために、今一度自らの歴史に学び、自己決定権(脱植民地化)を行使し現状を打破しなければならない。

琉球併合以来今日まで、私たちは政治的には常にヤマト(日本)の系列化に従い、琉球・沖縄の内部で対立や分裂を演じてきた。それは、圧倒的な少数派が生き残るための一つの方法ではあったかもしれないが、しかし、それはまた日米両国による植民地統治に利用され、ますます従属化を深め、今日の危機的状況を招いた。私たちは歴史に学び、琉球・沖縄人同士が対立や分断を克服し、国連や国際人権法で保障される自らの自己決定権を自覚し、行動することが問われている。

今アジアは、世界経済の中心地の一つとして空前の活況を呈している。この現象は、「万国津梁の時代」=大交易時代への契機となる琉球のグスク時代以来の東アジアの大きな歴史的変動だ。私たちは、海洋アジアの中心として生きてきた歴史的記憶を糧に、自己決定権の行使によって基地問題を解決し、経済自立と貧困を克服する大きな歴史的な転機を迎えている。

世界の人々は、紆余曲折を経ながらも確実に人類の叡知を集め、個人と集団の人権を尊重し平和な共生の社会を希求し努力している。

私たちは、国連や国際社会に依拠し、東アジアに開かれた非武装中立の琉球・沖縄を創造することによって、平和で豊かな社会を目指し、ここに「命どぅ宝! 琉球の自己決定権の会」の設立を宣言する。

2017年5月13日