2024年新春講演会を開催します。1月27日、普天間事務所にて。

 新玉ぬ年に 炭とぅ昆布飾てぃ 心からしがた 若くなゆさ
 (新年に縁起物の炭と昆布を飾り、身も心も若返る・蘇る)

日本の自民党による一党独裁的な政治風土においては、国民は政治に対して無関心で、政権打倒など激しく抵抗することはほとんどないが、これに対して韓国では政治的問題が起これば一気に市民が立ち上がり、時の政権と厳しく対峙する。この差は一体、どこから来るのだろうか。

韓国では1960年代から長期の軍事政権が継続され、1980年光州市では政府の弾圧によって民主化を求める多くの市民や学生が死傷する光州事件が起きました。民主化運動は特に1980年代に最も旺盛な運動が繰り広げられたが、抵抗としての韓国の民衆美術運動もまたこの時期に本格的に展開され、民主化運動を後押ししてきました。

では、琉球・沖縄において権力に対する抵抗としての文化や芸術運動はどのようなものがあるだろうか。身近なところでは、辺野古新基地反対運動の現場における琉球の歌・三絃や、また状況批判としての写真や彫刻、文芸などの作品がある。これらの文化芸術活動が直接的に現下の日米両国による軍事要塞化への抵抗に結びついているのだろうか。点から線へ、そして面的な広がりを欠いているのではないか。

琉球・沖縄においては、自らのアイデンティティーの象徴ともいえる「うた・さんしん」(琉球民謡や古典音楽)や琉球舞踊、空手の愛好家が多い。また、エイサーなど各地の民俗行事も盛んです。これらのアイデンティティーにかかわる諸活動が、直接的な民衆の抵抗運動には結びつかないとしても、琉球併合から今日まで様々な困難をしのいできたバックボーン・基盤になってきたのではないしょうか。そこに火が付けば、大きな抵抗の炎となるのではないか。

今、沖縄では日米両国による軍事植民地・要塞化が急ピッチで進行しています。この状況を乗り越えるには、自らの歴史や文化、アイデンティティーを前面に押し出すことが重要です。

このたび、光州市立美術館長の金俊紀氏による講演会「韓国民主化運動における美術の地位と役割」を開催することになりました。講師の金さんは、数年前に私たちの会員が訪れた済州道の美術館長も歴任されました。韓国の抵抗としての民衆美術運動に学び、琉球・沖縄の運動を考えてみたい。

【金俊起 ( Gim Jungi) 氏のプロフィール】
1968 年生。韓国の美術評論家、キュレーター、光州市立美術館長。弘益大学校美術学部芸術学科修士、<韓国社会芸術研究>で博士号を取得。釜山市立美術館キュレーター、大田市立美術館学芸研究室長、済州道立美術館長、国立現代美術館学芸研究室長などを経て平和芸術大長征総監督(2019)、東アジア平和芸術プロジェクト芸術監督(2018)、智異山プロジェクト芸術監督(2014~)なども務めた。

※お申し込みは、事務所での参加、Zoomでの参加とも、当ホームページのお問い合わせからお申し込み下さい。

(2024.01.14.発行 ニュースレター38号より転載)